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銀河鉄道の夜[シンボルで見るテーマ] 宮沢賢治[加筆修正版]

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銀河鉄道の夜のシンボル

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Music 銀河鉄道の夜:久石 譲

銀河鉄道の夜は、宮沢賢治(1896,08,27-1933,09,21)の死後に発見された未定稿の童話です。「永久の未完成これ完成である」という賢治の言葉にふさわしく、この童話も第1次稿から4次稿まで、3回書き直されています。これほど賢治が推敲を重ねたのは、キリスト教と法華経を融合した宗教観の進展と、生と死に対する普遍的な考えを自分の中で完成したかったからではないでしょうか。
個人的には、早くして亡くなった、妹トシへの追慕の気持ちが強かったと思いますが、宗教を超えて、ひとつになる真理を求めて、より普遍的なテーマにしていったようです。
それが、作品の中に、いろいろなシンボルとして現われます。学校の授業、自然の川や牛乳は天の川への布石。銀河の祭りの「烏瓜のあかりを川へ流す」風習は、盆の送り。天気輪の柱は、仏教の法輪に由来する免罪。クルミの化石や牛の祖先の化石は、過去の生命の証。北十字はキリスト教の十字架と死の象徴。鳥を捕る人からもらう雁を食べるのは、他の生命の犠牲から得る生命の尊厳。ケンタウル祭りは、七夕祭り(恋人ではなく、年に一度の死者との交感)。サウザンクロス(南十字)は、天上界の象徴。石炭袋は、無の象徴。…諸説があるので、単なる私見ですが、このように読めます。
ただ、石炭袋も鉄道のイメージですが、天気輪の柱、北十字、サウザンクロス(南十字)は、鉄道標識の影響があるように思います。十字はローカル線の始点標識から停止点標識までのイメージです。ジョバンニは駅で銀河鉄道から降りることによって、今までと変らぬようでいて、内面的には新しい生活を始めます。賢治の時代の人々は多かれ少なかれ鉄道にある種の憧れを持っていましたから、その標識の意匠に対する興味もあったと思います。「銀河鉄道の夜」に関する研究・解説は多いのですが、浅学もあって、「鉄道」というキーワードで書いたものが見当たりません。文学的が専門の方は、こうした分析に興味がないのでしょうか?

The Celestial Railroad - Fantasy Railroad in the Stars (Full Film)

The Celestial Railroad – Fantasy Railroad in the Stars (Full Film)

銀河鉄道の夜 宮沢賢治【Night on the Galactic Railroad】【Night on the Galactic Railroad 】

話を戻します。すると、この童話はとても暗いテーマかというと、そうではありません。物語はじめの暗いイメージが、次第に明るいイメージに変化してゆく描写もたくみで、後半には、少し宗教的な会話などがありますが、童話ですから、宗教の説教になることなく、イメージによる情景描写を重ねて、感性に問いかけるように、とても静かな、そして、賢治の造語を含めて、詩的な言葉で綴られています。そして、最後に「ほんとうのみんなのさいわい」のために生きることの大切さという、この童話の本当のテーマが鮮明になります。極論かもしれませんが、「銀河鉄道」とは時空を超えた、人の生き方そのものを象徴しているとも思えます。生を受けた人の彼岸までの旅路、そしてそこに現れるシンボル、警鐘を読み解き、考えることが、この童話のメッセージだと思います。

「どのように生きるか」というテーマ自体が、人間にとって永遠のテーマであり、それを世界中の誰にでも分るような童話にすることは、大変難しいものです。賢治の度重なる推敲は、この困難なことを完成するためですが、未定稿です。決定稿前の自分の到達点。それは、永遠に完結しない童話であり、世界的にも稀な、スピリチュアルな童話ではないでしょうか。

上の動画は、YouTubeのもので、久石譲さんのテーマ、KAGAYAさんのCG(これは、是非プラネタリウムで観てください。)です。動画が気に入ったら、「銀河鉄道の夜」は、青空文庫で読むこともできますので、是非一度は、美しい宮沢賢治の文学を読んでみてください。

銀河鉄道の夜Wikipedia
宮沢賢治Wikipedia
青空文庫:宮沢 賢治
KAGAYAさんのサイト
プラネタリウム銀河鉄道の夜のオフィシャルサイト

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