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ストラヴィンスキー「ペトルーシュカ」あらすじ[修正版]:Petrushka – IGOR STRAVINSKY

クラシック音楽
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Stravinsky - Petrushka Ballet FULL

ボリショイ劇場スタジオ収録版、オリジナルの振り付けはロシアバレエ団のフォーキンによるものです。

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ペトルーシュカの構成とあらすじ

この物語の舞台はロシアの現サンクト・ペテルブルグです。ペテルブルク~ペトログラード~レニングラード~サンクト・ペテルブルグと時代よって名称が変わりました。また、登場人物でも分かるように、ロシアが多民族国家であることを、前提に物語ができていることも、知っておくことも、鑑賞の助けになると思います。

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第1場:謝肉祭(四旬節の断食(大斎)の前に行われる祭り)の市 Fête populaire de semaine grasse

謝肉祭に賑わう雪の積もったペテルブルクの広場では、羊や豚の頭が飾られている。見世物小屋や大道芸人も出て、大人も子供も浮かれ騒いで、断食前の祭りを楽しんでいる。

導入 – 群集 Début – Les foules
いろいろな民族衣装で着飾った人たち。ロシア人のコサックダンス、大道芸の踊り子の踊りなど、人々はそれぞれに祭りを楽しみ、広場は喧騒に包まれている。
人形使いの見世物小屋 La baraque du charlatan
人形使いの見世物小屋から 親方の人形使いが現れて笛を吹くと、人々は夢心地になってしまう。見世物小屋に人々が集まると、幕が開き、3つに仕切られた小部屋に、それぞれ3体の人形が立っている。右が道化人形ペトルーシュカ、中央がバレリーナ、左がムーア人。魔法使いに操られ、人形たちが踊りだす。観客たちは驚きながら見とれて楽しんでいる。ペトルーシュカはぎこちなく、バレリーナは可愛らしく、ムーア人は勇壮であるが、ペトルーシュカはバレリーナに気があり、ムーア人とは仲が悪いようである。
ロシアの踊り Danse russe
(演出で導入に含まれています。)

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第2場:ペトルーシュカの部屋

ペトルーシュカの部屋 Chez Pétrouchka
3体の人形の踊りが終わり、暗く寂しい部屋で、ペトリューシュカがバレリーナへの片思いの恋心に沈んだ気持ちで過していると、人形使いがバレリーナの人形を連れてくる。ペトリューシュカは大喜び。この様子を見て、人形使いはバレリーナを連れ去る。ペトリューシュカは哀しむ。

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第3場:ムーア人の部屋 Chez le Maure

ムーア人の部屋 Chez le Maure
明るい南国ムードの部屋で、ムーア人が暇を持て余している。
バレリーナの踊り Danse de la Ballerine
そこにバレリーナが部屋にやって来て、ムーア人の前で踊りだす。
ワルツ(バレリーナとムーア人の踊り) Valse: La Ballerine et le Maure
バレリーナとムーア人はすっかりロマンチックなムードになり、一緒に楽しく踊る。そこへ嫉妬に駆られたペトリューシュカが乱入し、ムーア人と大喧嘩が始まる。逃げるバレリーナ。ペトリューシュカも力の強いムーア人に負けて、追い出されてしまう。

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第4場:謝肉祭の市(夕景) Fête populaire de semaine grasse (vers le soir)

広場の夕方、謝肉祭の祭りももう直ぐ終わり、断食前に大いに騒ごうと次々に踊りだす人たち。

乳母の踊り Danse de nournous
熊を連れた農夫の踊り Danse du paysan et de l’ours
行商人と二人のジプシー娘 Un marchand fêtard avec deux tziganes
馭者と馬丁たちの踊り Danse des cochers et des palefreniers
仮装した人々 Les déguisés
格闘(ペトルーシュカとムーア人の喧嘩) La rixe: Le Maure et Pétrouchka
見世物小屋の幕から、ペトルーシュカを追ってムーア人、バレリーナが出てくる。ムーア人は手に半月刀を持っている。人形たちの争いに広場の人たちは見守るばかり。
終景:ペトルーシュカの死 ― Fin : La mort de Pétrouchka
逃げるペトルーシュカに切り付けるムーア人。絶命したペトルーシュカに人々は大騒ぎになる。
警官と人形使い ― La police et le chartatan
警官に連れられてきた人形使いがペトルーシュカを、ただの人形に戻すと人々の騒ぎも静まる。
ペトルーシュカの亡霊 Apparition du double de Pétrouchka
ペトルーシュカの人形を運ぶ人形使いの前に、ペトルーシュカの亡霊が現れる。人形使いは驚き怯えその場を立ち去る。広場に残ったのはペトルーシュカの人形と亡霊だけ。

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「ペトルーシュカ」(Petrushka:Петрушкаについて

「ペトルーシュカ」(Petrushka:Петрушка)は、ストラヴィンスキーの「火の鳥」「春の祭典」と並ぶ三大バレエ音楽の一つ、第2番目の作品です。ストラヴィンスキーの芝居小屋の人形が命ある者のように動き出すというインスピレーションを元に、ロシアバレエ団のために作曲されました。謝肉祭の陽気さと、踊る人形の恋と殺人(?)のグロテスクさのコントラストにより、不思議な魅力がある作品です。そもそもペトルーシュカは本当に人形だったのか、人形に変えられた人間だったのではなかったのかとも思えます。(第1場の人形使いの笛のシーンでは、美しい女性を捕らえようとしているようです。第4場のペトルーシュカの死では、道化の仮面が一部落ちます。)しかし、答えはありません。不思議は不思議のまま、教訓めいたところもありません。このストーリーは感性で楽しむもの。見る人によって様々な解釈が可能です。それと同様にバレエの演出も多様にできますので、演出家の創作意欲を刺激する作品でもあります。ストラヴィンスキーの音楽と共通する多様性・可変性こそが現代的であり、今でも輝きを失わない魅力でもあります。

ペトルーシュカWikipedia

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