ホテル・カリフォルニア(歌詞和訳と意味と解釈)イーグルス:Eagles – Hotel California

ロック,人気がある歌,定番の名曲

Eagles - Hotel California (Live 1977) (Official Video) [HD]

Eagles – Hotel California (2013 Remaster)

ホテル・カリフォルニアの歌は何を言ってるの?

イーグルスの「ホテル・カリフォルニア」(Hotel California)です。「ホテル・カリフォルニア」(作詞/作曲:ドン・ヘンリー/グレン・フライ/ドン・フェルダー1976年)は、哀愁漂うメロディとドン・ヘンリーのボーカルで大ヒットした曲です。しかし、歌詞の意味することが分かりずらい曲でもあります。これはアメリカ人にとっても、日本人にとっても同じです。作詞作曲をしたグループのメンバーも何も語ってはいません。

歌詞をどう読むか

そこで、勝手な解釈をしているのがこの記事です。
歌詞を通して感じられるのは、まるでトワイライト・ゾーン(The Twilight Zone) のエピソードのような、出口のない異次元の世界へ踏み込んでしまったようなストーリーです。トワイライト・ゾーンは1959年から1964年まで放映された有名なSFのテレビドラマシリーズですから、歌のストーリーを作るうえで、少なからず影響があるかもしれません。先ずは歌詞を読んでみましょう。

ホテル・カリフォルニア(Hotel California歌詞和訳)

暗い砂漠の高速道路で、涼しい風が髪をなびかせる
コリタスの温かい匂いが、あたりに立ち上ってる
頭を上げて見る彼方に、私は輝く光を見つけた
頭が重くなり、視力がかすんできたので
夜を過さなければならない
彼女が入り口に立っているところで
私は礼拝の鐘を聞いて
そして私は自分自身のことを考えた
「これは天国か、それとも地獄かもしれない」
すると彼女はろうそくを灯し、私に行き先を示した
廊下をおりるとの声がした
私は思った、彼らがこんなふうに言ってのが聞こえたと…

ようこそホテルカリフォルニアへ
なんて素敵な所
なんて素敵な所
なんて素敵な顔
ホテルカリフォルニアの部屋の豊富です
年中無休で
年中無休で
あなたはここで見つけることができます
あなたはここで見つけることができます

彼女の心はティファニーのねじれ
彼女はメルセデスの曲線を持っている
彼女は多くのかわいい、かわいい男の子を持っている
彼女が友人と呼んでいる
彼らは中庭でダンスを踊っている
甘い夏の汗
何人かは思い出すためにダンスを踊る
何人かは忘れるために

ホテルカリフォルニア(Hotel California歌詞)

On a dark desert highway,
Cool wind in my hair,
Warm smell of “colitas"
Rising up through the air,
Up ahead in the distance
I saw a shimmering light,
My head grew heavy and my sight grew dim,
I had to stop for the night.
There she stood in the doorway,
I heard the mission bell
And I was thinkin’ to myself :
“This could be heaven and this could be hell"
Then she lit up a candle,
And she showed me the way,
There were voices down the corridor,
I thought I heard them say

Welcome to the Hotel California,
Such a lovely place,
(Such a lovely place)
Such a lovely face
Plenty of room at the Hotel California,
Any time of year,
(Any time of year)
You can find it here

Her mind is Tiffany-twisted,
She got the Mercedes Bends,
She got a lot of pretty, pretty boys
she calls friends
How they dance in the courtyard,
Sweet summer sweat
Some dance to remember,
Some dance to forget

So I called up the Captain
“Please bring me my wine"
He said, “We haven’t had that spirit here
Since nineteen sixty-nine"
And still those voices are calling from far away,
Wake you up in the middle of the night
Just to hear them say:

Welcome to the Hotel California,
Such a lovely place,
(Such a lovely place)
Such a lovely face
They’re livin’ it up at the Hotel California,
What a nice surprise,
(What a nice surprise)
Bring your alibis

Mirrors on the ceiling,
The pink champagne on ice, and she said:
“We are all just prisoners here,
Of our own device"
And in the master’s chambers
They gathered for the feast,
They stabbed it with their steely knives,
But they just can’t kill the beast

Last thing I remember, I was running for the door,
I had to find the passage back to the place I was before,
“Relax," said the night man, “We are programmed to receive,
You can check out anytime you like… but you can never leave"

各節の内容です。

コリタス(colitas) は、砂漠の花であるとともに、マリワナを意味します。言葉のダブルイメージです。この歌にはダブルイメージがこの後も出てきます。それが、歌の解釈を多様にもし、分りづらくもしています。つまりここでは、「夜の砂漠のハイウェイを走っていると、砂漠の花の香りが立ち込めている。」という一種の開放感と、「マリワナを吸いながら走っている。」という麻薬による高揚感の二重の意味となります。そして、主人公は頭が重くなり、目もかすんできたので、遠くに見つけた灯りに誘われて、夜を過すためにホテルへ入ります。
礼拝の鐘(mission bell) は、カトリック教会で鳴らすもので、ホテルで鳴らすことはまずありません。ですから、この鐘の音を聞くと、カトリックの信者は天国や地獄という教義を連想し、同時に自分が入ったホテルが普通とは違うことに気付きます。
ようこそホテル・カリフォルニアへ(Welcome to the Hotel California)の部分は、少しチープな広告のような言葉を使って、第一節の歌詞とのギャップを作っています。しかしここでも、「豊富な部屋があり、あなたは(何かを)見つけることができる。」という暗示めいた言葉を含んでいます。

彼女の心はティファニーのねじれ、彼女はメルセデスの曲線を持っている(Her mind is Tiffany-twisted, She got the Mercedes Bends,)の部分は、「ニューヨーク5番街の有名な宝飾店ティファニーの洗練されたデザイン、高級車メルセデスベンツの美しいライン」に象徴される内面的な気品と「女性の持つ腰のくびれやボディラインが高級品のようにゴージャス」というイメージがあります。(the Mercedes Bendsはthe Mercedes Benzのもじり・洒落)そしてもう一つ、ジャニス・ジョプリン(Janis Joplin、1943-1970)が最初に歌ったサンフランシスコのサイケデリックバンド、ビッグブラザー&ホールディングカンパニー(Big Brother and the Holding Company)に影響を与えたティファニーシェード(Tiffany Shade)とジャニス・ジョプリンの曲「メルセデスベンツ」を連想させて、ジャニス・ジョプリンへのオマージュともとれます。そしてこのホテルが、そんな女性を中心とした、かわいい少年たちが踊り、「思い出す」「忘れる」という過去に囚われている一種のコロニーであることが分ります。(女王に支配された蜂や蟻の巣のようなイメージです。)

次に、主人公は理性を保つため、あるいは現実に戻るために、ボーイ長(給仕長)にワインを頼みますが、「私たちは1969年以来のスピリット(魂)をここには置いていないんです」 (We haven’t had that spirit here Since nineteen sixty-nine")と言われます。1969年はウッドストックで大規模な野外コンサートがあった年。また、アメリカがベトナムから最初に撤退を始めた年でもあります。サイケデリック・ムーブメントによる自由な共同体という意識が、当時の若者の間でピークに達した年ですが、衰退の始まった年とも言えます。ジャニス・ジョプリンは1970年に亡くなっています。とにかく音楽の世界も、社会の動きや人々の考え方も変っていった時代です。ですから、このホテルがそれ以降の新しいスピリットがない場所ということになります。スピリットは蒸留酒のアルコール分(ワインは蒸留酒ではありませんが)と魂の二重の意味を含んでいます。そして、過去に捉われているこのホテルの住人たちが、「彼らはホテルカリフォルニアで生きてくのさ、なんて素晴らしい驚き、なんて素晴らしい驚き」「あなたのアリバイを持ってきて」と呼びかけます。「アリバイ(不在証明)を持ってきて」(Bring your alibis)は一般社会からの離脱を意味しています。

そして最後が、祝宴のとき、女性がここにいるみんなが囚人で、自分たちが作り上げたものだと告白します。そして野獣を殺せない。…自分たちが過去の意識に囚われている。それは自分たちが望んだ世界ではあるが、憎悪や競争がある現実的な世界に戻るための勇気を失っているという寓意でしょか?野獣は心の中の潜在的な魔と解せます。(ゴージャスな女王のような女性=美女と野獣の対比?)
最期の節で主人公は、現実へ戻るために出口を探しますが、夜警の男たちに、チェックアウトは何時でもできるが、二度と離れることは出来ないと言われます。(programmed to receive)ですから、戻れない仕組みになっているということです。ここではチェックアウトはホテルを離れる意思を示すことはできる、しかしこのホテルカリフォルニアが実際に立ち去ることは出来ない迷宮だと言っているようです。

歌詞の起承転結と結論

歌の細部については以上のとおりです。それではこれをまとめてみます。先ず、この歌を単にドラッグによる幻想の歌と思うのは間違いです。コリタス(colitas)の言葉にこだわると、それ以降の歌詞の解釈ができません。「1969年」にこだわって、昔は自由で良かったという過去への郷愁の歌というのも感じられますが、少し違います。
私がキーワードと思うのは、(Bring your alibis)、(they just can’t kill the beast)、(programmed to receive)です。つまり、過去や思い出、失望や後悔などの後ろ向きな感情が心に宿って、社会や自分の属するコミュニティから一度離れた心はもう二度と戻せないという寓意だと思います。人間は記憶を頼りに、過去に縛られる動物なので、そうした負の感情を拭い去ることはできない。その負のイメージを象徴したものがホテルカリフォルニアで、誰もが客になる可能性があるということだと思います。

以上は自分勝手な解釈なので、他にもいろいろ考えられます。各節の言葉の意味合いを書いておきましたので、聴く人それぞれが自分なりの解釈ができます。ただし、大きな象を部分的に形容したからといって、象の全体が見えるものでもありません。とはいえ、それを考えるのもこの歌の楽しみ方のひとつです。でも、その前に音楽として楽しみたい名曲です。
…Welcome to the Hotel California

Eagles - Hotel California (Lossless Audio)

オリジナルバージョン