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恋はやさし野辺の花よ [歌詞和訳・修正版]- フランツ・フォン・スッペ

恋はやさし野辺の花よクラシック音楽
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Suppé: Boccaccio - Hab' ich nur deine Liebe

インゲボルグ・ハルシュタイン:Ingeborg Hallstein sings “Hab’ ich nur deine Liebe” from Suppé’s Boccaccio

白鳥英美子 - 恋はやさし野辺の花よ 【HD】

白鳥英美子 – 恋はやさし野辺の花よ

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恋はやさし野辺の花よ:歌詞和訳 『ボッカチオ』 (Boccaccio)第1幕より

私がただあなたを愛するならば
誠実さは必要じゃない
愛はただの蕾
そこから誠実さが生まれる

だから、蕾の世話をする
それがよく繁るようにと
そしてそれが咲かないことがないよう
ああ、目を離さないこと

誠実さは有るの、無いの!
誠実さは有るの、無いの!

だって誠実さを持ってなくても
愛はしばしば喜びだけれど
愛の無いただの誠実さは
誰も幸せにしなかった!

だから、蕾の世話をする
それがよく繁るようにと
そしてそれが咲かないことがないよう
ああ、目を離さないこと

誠実さは有るの、無いの!
誠実さは有るの、無いの!

小林愛雄 訳詞

1.
恋(こい)はやさしい 野辺(のべ)の花(はな)よ
夏(なつ)の日(ひ)のもとに 朽(く)ちぬ花(はな)よ
熱(あつ)い思(おも)いを 胸(むね)にこめて
疑(うたが)いの霜(しも)を 冬(ふゆ)にもおかせぬ
わが心(こころ)の ただひとりよ

2.
胸(むね)にまことの 露(つゆ)がなけりゃ
恋(こい)はすぐしぼむ 花(はな)のさだめ
熱(あつ)い思(おも)いを 胸(むね)にこめて
疑(うたが)いの霜(しも)を 冬(ふゆ)にもおかせぬ
わが心(こころ)の ただひとりよ

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Hab ich nur deine Liebe

Die Treue brauch ich nicht.
Die Liebe ist die Knospe nur,
Aus der die Treue bricht.

Drum sorge für die Knospe,
Daß sie auch schön gedeih,
Auf daß sie sich in voller Pracht
Entfalten mag, o gib drauf acht

Ob mit, ob ohne Treu!
Ob mit, ob ohne Treu!

Denn selbst auch ohne Treue
Hat Liebe oft entzückt,
Denn ohne Liebe Treu allein
Hat keinen noch beglückt!

Drum sorge für die Knospe,
Daß sie auch schön gedeih,
Auf daß sie sich in voller Pracht
Entfalten mag, o gib drauf acht

Ob mit, ob ohne Treu!
Ob mit, ob ohne Treu!

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アリエッタ「恋はやさし野辺の花」(Hab’ ich nur deine Liebe)は、ウィーンで活躍したオーストリアの作曲家フランツ・フォン・スッペ(Franz von Suppé:1819-1895)のオペレッタ「ボッカチオ」の劇中歌です。

恋はやさし野辺の花よ 田谷力三  OJ番外編

田谷力三 恋はやさし野辺の花よ

日本では大正デモクラシー華やかなりし大正4年(1915)に、日本のオペラ創立の功労者で、詩人、翻訳家の小林 愛雄(こばやし あいゆう、本名-ちかお:1881-1945)が「ボッカチオ」を翻訳して上演しました。このオペレッタは後に浅草オペラがレパートリーに加え、当時の新進オペラ歌手、田谷力三が大正11年に小林愛雄訳の「恋はやさし野辺の花」レコーディングしたことから流行歌としても爆発的な人気を博しました。

歌詞の内容は、直訳した意訳を参照してください。「愛」と「誠実」(あるいは貞節)について、愛という蕾があってこそ誠実さが育つと歌っています。オペレッタは大衆向けの喜歌劇なので特に難しい言葉は使っていませんが、考えさせる歌詞です。この歌詞を小林 愛雄は花の定め、夏冬の対比で移ろいやすい「愛」を喩えて、より強い愛情表現としています。その情感において、この訳詞は原詩に勝っていると思います。但し、それはドイツ語の「音」や劇中歌という、原曲とは異なる別の歌という意味に於いてです。

今でもオペレッタ「ボッカチオ」はドイツ、オーストリアなどではよく上演されて、親しまれています。「恋はやさし野辺の花」の歌も多くの歌手が歌っていますが、今日はドイツのオペラ・コロラトゥーラ・ソプラノ、インゲボルグ・ハルシュタイン(Ingeborg Hallstein:1936-)で聴いてください。往年のファンの方には、オペレッタ映画、ヨハン・シュトラウス2世の「ウィーン気質」(Wiener Blut)での伯爵夫人役の印象も残っていると思います。彼女の美しい歌声はもとより、一語一語を大切にした、綺麗で正しいドイツ語の発音も聴き所です。

フランツ・フォン・スッペ:Wikipedia
Ingeborg Hallstein:Wikipedia

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