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ハックルベリー・フィンの冒険:The Adventures of Huckleberry Finn

ブックス・読書
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The Adventures of Huckleberry Finn

Mark Twain’s” The Adventures of Huckleberry Finn”( Mickey Rooney 1939 film )

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「ハックルベリー・フィンの冒険」(The Adventures of Huckleberry Finn)

「ハックルベリー・フィンの冒険」(The Adventures of Huckleberry Finn)は、1885年に発表されたマーク・トウェインの小説です。1876年の「トム・ソーヤーの冒険」の続編として扱われていますが、その内容は大きく異なります。
「トム・ソーヤーの冒険」は少年少女の夢や勇気といったものが描かれ、少年少女にとっても大変分りやすいものです。これに対して「ハックルベリー・フィンの冒険」が見た人間社会が描かれています。この小説は自由と勇気の物語と簡単な言葉で理解すべきものでもありません。
一般にはwikipediaに「優れた教養小説の一例でもある。」と書かれているような文学による疑似体験を通して、ハックルベリー・フィンが人間的な成長の物語として捉えられることも多いのですが、これは少し違うように思います。
「ハックルベリー・フィンの冒険」は、政治や宗教、習慣や人間社会の常識と呼ばれるものの矛盾や、これらによって行われる人間の無知や無関心な愚かな行いなどが、野生児であるハックルベリー・フィンの眼を通して語られています。
読者は、ハックルベリー・フィンが一人称で語る文章によって、ハックルベリー・フィンと共にこれらについて考えることになります。これが「教養小説の一例」と言われる理由だと思いますが、何よりも「教養」と呼ばれるものの怪しさやその不確かさを批判しているのが「ハックルベリー・フィンの冒険」です。

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「ハックルベリー・フィンの冒険」は世の中の「常識」への警告(NOTICE)?

「ハックルベリー・フィンの冒険」は頻繁に禁書処分を受けたのも、こうした社会・宗教批判に拠るものです。アフリカ系アメリカ人を蔑視した「ニガー」(nigger)という言葉の使用によって人種差別的であるという批判も、本質を理解した読み方ではないと思います。
EXPLANATORY(注釈)の方言に関する文章は、南西部で「ニガー」という言葉などが頻繁に「常識的に」使われていたか、それが考え方の違う人間の互いの理解を如何に阻害していたのかを示すマーク・トウェインらしい文章だと思います。ハックルベリー・フィンは、逃亡奴隷ジムを「ニガー」とは呼びません。先入観を持たないからこそジムを助けて、筏でミシシッピ川を共に旅します。自由であるべき国の奴隷制度という矛盾は、南北戦争前までは多くのアメリカ人が認めていた常識であったことを考えても、この小説が人種差別的であるという批判は少し的外れなものと思われます。
あるいは、作者のマーク・トウェインが読者の反応を試すための作為的な仕掛けなのかもしれません。小説の冒頭にある警告(NOTICE)の意味も常識的な解釈がもたらす弊害について書かれているのかもしれません。
マーク・トウェインはこんな風に、私たちにつまらない人間にはなるなよ!と語りかけてくれたのです。
掲載した動画は小説とは別に楽しんでくださいね。

ハックルベリー・フィンの冒険:Wikipedia
Adventures of Huckleberry Finn:Wikipedia
Project Gutenberg :英語テキスト

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