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見果てぬ夢[歌詞和訳]ラ・マンチャの男:The Impossible Dream

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The Impossible Dream-Man of La Mancha

Peter O’Toole, Sophia Loren, James Coco – The Impossible Dream-from Man of La Mancha(1972, directed by Arthur Hiller)

「ラ・マンチャの男:Man of La Manch」より、「The Impossible Dream」(The Quest:探求,追求)ドゥルシネーア・デル・トボーソを演じたソフィア・ローレンは本当に魅力的でした。

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「見果てぬ夢」とは何か?

ブロードウェイ・ミュージカル「ラ・マンチャの男」(Man of La Mancha)で歌われる最も印象的な主題歌「見果てぬ夢」(The Impossible Dream)です。
「ラ・マンチャの男」の原作はスペインの作家ミゲル・デ・セルバンテスの小説「El ingenioso hidalgo Don Quijote de La Mancha」(英知あふれる郷士ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ)です。この世界的に親しまれている名作をアメリカの作家デイル・ワッサーマンが1959年のTV用の脚本として書いたものを、その出来の良さに目を付けてブロードウェイ・ミュージカルとしたのが1965年に初演された「ラ・マンチャの男」です。
このワッサーマンの脚本を元にブロードウェイの作曲家ミッチ・リー(Mitch Leigh)と作詞家ジョー・ダリオン(Joe Darion:1917-2001)が創り上げたのが「見果てぬ夢」などの楽曲で、ミッチ・リーはこの仕事でトニー賞を獲得し一流作曲家の仲間入りをしました。その一方で最大のの貢献者と思えるジョー・ダリオンは「ラ・マンチャの男」の作詞家として知られながら、さして有名にもならず生涯を送りました。
ジョー・ダリオンが「ラ・マンチャの男」の最大の貢献者だというのは、例えば「見果てぬ夢」を聴いて分るように、このミュージカル、小説「ドン・キホーテ」の主題を見事に言葉に表している点です。極端に言えば、「見果てぬ夢」の曲はよくあるブロードウェイ・メロディ・旋律なのですが、作詞がその音楽的価値を一段と高めていることは明らかだと思います。

小説「ドン・キホーテ」は子供の頃からなじみ深いものです。ただこの小説は単なる奇矯な人物による冒険物語として、子供用に書き直されることも多く、滑稽な面が強調されることも多々あります。また過去には騎士道という古い観念への風刺とも受け取られました。しかし、その主題は当時の一般的でない社会通念である騎士道(日本では武士道に置き換えてもいいかもしれません)、尊厳ある人間の観念を通して見た社会の矛盾や不合理への批判にあるのです。またドン・キホーテはドゥルシネーア・デル・トボーソの彼女の本質である尊厳ある人格に最大の敬意を払います。こうした主題を簡潔で力強い言葉で現した歌としたのが「見果てぬ夢」です。「ラ・マンチャの男」という作品はこの一曲に集約されていると思います。ですからこの歌は歌詞を良く聴いてほしいのです。

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ラ・マンチャの男「The Impossible Dream」(The Quest:探求,追求)歌詞

To dream the impossibe dream, To fight the unbeatable foe,
To bear with unbearable sorrow, To run where the brave dare not go,
To right the unrightable wrong, To be better far than you are,
To try when your arms are too weary, To reach the unreachable star!
This is my quest to follow that star!
No matter how hopeless no matter how far
To be willing to give, when there’s no more to give
To be willing to die so that honor and justice may live

And I know. If I’ll only be true to this glorious quest
That my heart will lie peaceful and calm
when I’m laid to my rest
And the world will be better for this
That one man scorned and covered with scars
Still strove with his last ounce of courage
To reach the unreachable stars!

以下に「見果てぬ夢」を少し古文調で意訳してみました。そのほうがこの歌詞の力強さが伝わると思ったからです。邦題の「見果てぬ夢」はロマンチックな響きで美しい言葉ですが、自身の限界に挑戦をあきらめたような、力強さに欠ける気がします。人間の尊厳や真実の正義を以って困難なことと知りながら立ち向かう勇気や、愚かと蔑まれながらも信じる道を行くことは周囲から見れば滑稽なことかもしれません。小さな妥協が重なることで、世の中がだんだん悪くなってしまうのは歴史の教訓でもあります。しかし矛盾や理不尽に疑問(クエッション)を持ち、正しいと思うことを為すことは人の尊厳に対するでもあります。そこでこのミュージカルの主題(主題歌)が大きな意味を語りかけてくるのです。
蛇足ですが、この歌詞は英語でも日本語に訳しても意味が損なわれない稀なものです。真実を語る言葉は本当に力強いと感じます。

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見果てぬ夢[歌詞和訳]

成し得ぬ夢を夢見、服せぬ敵と戦い、
耐え難き悲しみに耐え、勇者が行き難きところへ走る
正し難き誤りを正し、今の君よりもより良くあらんとし、
君の腕が疲れ増すも挑み、届かぬ星に届かんとする!
これがあの星に従い私が追い求めること!
たとえどれほど望み無く遠かろうとも
与え続けよう、もはや与えるもの無きときも
死さえ厭わぬ、誉れと正義が生きるなら

私は知っている。私がこの栄えある挑みに誠であらんとするならば
我が安息に横たわるとき、心は安らけく穏やかなることを
そしてこの世がより良くあらんとなるはこれがため
彼の蔑まれ傷に覆われたひとりの男は
なおも最後の勇気の力を振り絞り挑むのだ
届かぬ星に届かんと!

The Impossible Dream -- Brian Stokes Mitchell

The Impossible Dream – Brian Stokes Mitchell

ブライアン・ストークス・ミッチェルの「マン・オブ・ラ・マンチャ」(2002年)(トニー賞ノミネート)の歌唱。

コメントをどうぞ

  1. 松村 一生 より:

    大好きな歌です。
    ピーター・オトゥールとソフィア・ローレンが出演した、映画版の「ラ・マンチャの男」を観たのは、小学生の時でした。
    以来、還暦を迎えるこの歳まで、頭の中でこの歌が流れ続けています。届かぬ星に届かんと。