愚かなり我が心[歌詞和訳] :My Foolish Heart

「愚かなり我が心」の曲を有名にした3人はやはりヒットとなったビリー・エクスタイン(Billy Eckstine)と魅力的な女性ヴォーカルのマーガレット・ホワイティング(Margaret Whiting)、そしてジャズ・ピアノのスタンダードにしたビル・エヴァンス・トリオ(Bill Evans)です。その他フランク・シナトラやロッド・スチュアートなど多くの歌手やミュージシャンがこの曲をカバーしていますが、定番はこの2人です。
個人的なプラス・ワンとして、ビル・エヴァンス・トリオを聴いてみてください。
ビリー・エクスタイン:Billy Eckstine – My Foolish Heart
マーガレット・ホワイティング:Margaret Whiting – My Foolish Heart
女性ヴォーカルならばマーガレット・ホワイティングです。
歌詞の内容は恋の始まりととまどい、情熱を歌っています。fascinationは魅力に心奪われる状態で、loveが本当の自分からの恋心ならば、惑わさせる心です。このlove and fascinationsの境が分らないのがMy Foolish Heart、でもこれが本当の恋だと信じたいという気持ちです。少し恋に臆病になっていて、揺れ動く気持ちがよく出ています。
My Foolish Heart 愚かなり我が心 ネッド・ワシントン作詞、ビクター・ヤング作曲
The night is like a lovely tune
Beware, my foolish heart
How white the ever constant moon
Take care my foolish heart
There’s a line between love and fascinations
That’s hard to see on an evening such as this
For they both give the very same sensation
When you’re lost in the magic of a kiss
His lips are much to close to mine ※
Beware, my foolish heart
But should our eager lips combine
Then let the fire start
For this time it isn’t fascination
Or a dream that will fade and fall apart
It’s love, this time it’s love
My foolish heart.
(意訳:女性ヴォーカル)
夜は愛しき調べのよう
心してよ、私の愚かな心よ
いつも変らぬ月のなんと白いこと
気をつけてよ、私の愚かな心よ
恋と惑いを分かつラインがあるけれど
こんな宵には分り難いものなの
どちらもまるで同じときめきをくれるのから
キスの魔法に我を忘れると
彼の唇が私に迫ってくるわ
心してよ、私の愚かな心よ
でも二人のくちびるは重なり合ってしまうわ
あとは燃え始めるままに
今度は、惑いじゃないの
消えて無くなるような夢じゃないわ
そうよ恋、今度は恋だわ
ね、私の愚かな心よ
※男性用の歌詞では、「Her lips are much to close to mine」
「愚かなり我が心」(My Foolish Heart)は、J・D・サリンジャー(Jerome David Salinger:1919-2010)の短編集「九つの物語」(Nine Stories:1953)に収録された「コネティカットのひょこひょこおじさん」(Uncle Wiggily in Connecticut:1948)を原作としたダナ・アンドリュース(Dana Andrews:1909-1992)とスーザン・ヘイワード(Susan Hayward:1917-1975)主演の同名映画の主題歌です。ダナ・アンドリュースはウィリアム・ワイラー監督のアカデミー賞作品賞受賞映画「我等の生涯の最良の年」(The Best Years of Our Lives:1946)での元飛行将校フレッド役の演技で認められ、スター女優であったスーザン・ヘイワードとの共演を果たしました。スーザン・ヘイワードは当時の人気女優で、度々アカデミー賞にノミネートされながら果たせず、後年、1958年に「私は死にたくない」でようやく主演女優賞を受賞しました。そしてこの映画の音楽を担当したのが、ヴィクター・ヤング(Victor Young:1899-1956)です。ヴィクター・ヤングもアカデミー賞に22回ノミネートされながら、その死後、1956年に「八十日間世界一周」(Around the World in 80 Days)でようやくその栄誉を受けました。「愚かなり我が心」はこうした才能が結集したことで忘れがたい映画ですが、サリンジャーは自分の小説の意図との違いに失望しました。しかし映画自体の出来は良く、そのロマンスの印象を深く残すファクターとなったのがこの曲でした。そして今ではこの「愚かなり我が心」の曲がスタンダード・ミュージックとなり、映画はほとんど忘れられています。
ビル・エヴァンス・トリオ:Bill Evans Trio – My Foolish Heart (’64)
My Foolish Heart、ジャズ・ピアノならやはりビル・エヴァンスです。
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