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第三の男:The Third Man 1949

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「第三の男」(The Third Man)は、1949年に製作されたイギリス映画で、キャロル・リード(Sir Carol Reed:1906-1976)が監督したフィルム・ノワールです。

「フィルム・ノワール」という言葉はフランス語の「暗黒映画」という意味で、第二次世界大戦前にフランスで出版されていたセリ・ノアール(暗黒叢書)という、犯罪小説、探偵小説やミステリー小説などの翻訳シリーズの名前にちなんで、アメリカの犯罪映画を映画評論家のニーノ・フランクが映画雑誌に「フィルム・ノワール」と呼んで紹介したのが始まりと言われています。「フィルム・ノワール」は夜や影などの暗いトーンの画面が特徴で、モノクロ映画の撮影・照明技術の発達とも関係しています。暗い画面を美しく撮るためには、フィルムの感高度や照明装置などによる技術の発達が必要だったからです。「第三の男」が撮影された1949年頃には、モノクロ映画の撮影技術がほぼピークになったころです。また、モノクロのハードな画調が戦争で荒廃したウィーンの街で展開するストーリーにとてもマッチしていました。モノクロで映し出されるウィーンの情景、この美しい画面もこの映画の見所です。

アメリカでの本格的なカラー映画は、1939年に製作された「風と共に去りぬ」でしたが、カラー・フィルムは当時はとても効果なもので、一般的になったのは1950年半ばでした。(日本で「第三の男」が公開されたのは1952年で、「風と共に去りぬ」も同じ年でした。)その意味で、この映画が製作された頃がモノクロ映画のピークだったと思います。「第三の男」を撮影したロバート・クラスカーは、この作品でアカデミー撮影賞を獲得しました。

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「第三の男」見どころ

第二次世界大戦後の世相:共同分割統治下のウィーン
スタイリッシュなサスペンスとロマンティックな謎解き
ココ・シャネルの衣装デザイン
アントン・カラスによるチターの映画音楽
等々、映画の全編を通して、「フィルム・ノワール」の魅力がありました。

「第三の男」は、アメリカ、イギリス、フランス、ソヴィエトの4カ国共同分割統治下の敗戦後の荒廃したウィーンが舞台で、アメリカの作家ホリー(ジョセフ・コットン)が親友ハリー(オーソン・ウェルズ)の死の謎を探るストーリーで、男同士の友情と裏切りと、ハリーを愛するアンナ(アリダ・ヴァリ)をめぐる愛憎が絡んで、ロマンチックなサスペンス映画になっています。衣装を担当したのはココ・シャネルで、女優に男物のトレンチ・コートを始めて着せた映画としても有名です。また、音楽は当時一般的であったオーケストラではなく、監督キャロル・リードのアイデアによるアントン・カラスのチターのみで、これもスタイリシュで映画の情感を伝えています。

そして、印象深いのはオーソン・ウェルズの存在感ある演技です。オーソン・ウェルズは1941年の「市民ケーン」での名演に劣らぬ演技をこの映画でも見せています。オーソン・ウェルズは自作したハリーのセリフも使い、倫理感や自己の存在価値を失った時代が生んだハリーという、アイデンティーを無くした人間、虚無的な男を見事に演じています。

この映画の関係者の名前や要素を並べても、映画ファン必見の傑作だということが分ると思います。

但しこの映画は犯罪映画ではありません。これはメロドラマであり、寡黙な男の友情を描いた作品でした。

The Third Man - Anton Karas

Anton Karas – The Third Man 1949

第三の男:Wikipedia

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