PR

エドワード・ホッパー:Edward Hopper

絵画・アート
記事内に広告が含まれています。
スポンサーリンク

Edward Hopper: A collection of 236 paintings (HD)

Edward Hopper: A collection of 236 paintings (HD)

スポンサーリンク

エドワード・ホッパー(Edward Hopper,1882年7月22日-1967年5月15日)


参考:ホッパーの基本的構図例。古典的な透視図法の構図です。彼にはこの構図とその応用作品が多くあります。

エドワード・ホッパーは20世紀前半のアメリカ具象絵画の作家で、ニューイングランドの風景を描いた一連の作品から、有名なニューヨークの街を描いたシリーズまでアメリカの日常的な光景を描いて人気があります。その人気は特に都会を描いた作品にドラマ性が感じられることに拠ります。

ホッパーの作品に登場する人物には感情表現がありません。彼の作風である荒い、あるいは大まかな筆遣いにより細部描写がないことにも拠りますが、もしこれが人物の喜怒哀楽を描いたものであったなら、きっとそれは挿絵風の絵画や風俗画になっていたと思います。ホッパーはその一歩手前で純粋絵画の普遍性を得ています。
これは、ホッパーは基本的には風景画家であって、人物表現は苦手だったからではないでしょうか。あるいは彼は個別の人物には興味がなく、都会やアメリカ的な風景の一部として人物を捉え、それを効果的に配置することで、アメリカの風景や都市の光景の中にある本質を描くことに気付いたのだと思います。

それではアメリカの風景や都市の光景の中にある本質とは何かというと、それはそこに生きる人々が他人との関わりを持たないことで共存している姿です。他の個人を風景の中の点描として捉え、敢えてその個性を認識しない、干渉しないことで精神的なバランスを保っている人たちです。また、都市の建物や施設も多くは他人には干渉しないように作られています。この風景こそがホッパーの見たものです。ですからホッパーの絵に登場する人物は孤独で、もし会話をしていても事務的な存在で、実はドラマが無い光景でもあります。ドラマを拒否したドラマチックな社会を描いているからこそ、エドワード・ホッパーは極めて現代的な画家なのだと思います。そしてそれは私たちの感じる現代の社会でもあります。

Edward Hopper's New York (NGA)

Edward Hopper’s New York (NGA)

Edward Hopper at the National Gallery of Art
エドワード・ホッパーWikipedia

コメントをどうぞ