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ケイト・ブシュ「アーミー・ドリーマー」[歌詞和訳・加筆修正版]:Kate Bush – Army Dreamers

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Kate Bush - Army Dreamers - Official Music Video

Kate Bush – Army Dreamers – Official Music Video

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【Army Dreamers:歌詞】

B.F.P.O
Army dreamers
Mammy’s hero
B.F.P.O
Mammy’s hero

Our little army boy
Is coming home from B.F.P.O
Wave a bunch of purple flowers
To decorate a mammy’s hero
Mourning in the aerodrome
The weather warmer, he is colder
Four men in uniform
To carry home my little soldier

What could he do?
Should have been a rock star
But he didn’t have the money for a guitar
What could he do?
Should have been a politician
But he never had a proper education
What could he do?
Should have been a father
But he never even made it to his twenties
What a waste, army dreamers
Oh, what a waste of army dreamers

Tears o’er a tin box
Oh, Jesus Christ, he wasn’t to know
Like a chicken with a fox
He couldn’t win the war with ego
Give the kid the pick of pips
And give him all your stripes and ribbons
Now he’s sitting in his hole
He might as well have buttons and bows

What could he do?
Should have been a rock star
But he didn’t have the money for a guitar
What could he do?
Should have been a politician
But he never had a proper education
What could he do?
Should have been a father
But he never even made it to his twenties
What a waste, army dreamers
Oh, what a waste of army dreamers
Oh, what a waste of all them army dreamers
Army dreamers, army dreamers

[Outro]
B.F.P.O
Army dreamers
Mammy’s hero
B.F.P.O
Army dreamers
Mammy’s hero
B.F.P.O
No hard heros
Mammy’s hero
B.F.P.O
Army dreamers
Mammy’s hero
B.F.P.O
No hard hero

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【アーミー・ドリーマー:Army Dreamers:歌詞和訳】

” B.F.P.O. ” (British Forces Posted Overseas)
憧れの軍隊(Army dreamers)
“ママの英雄”
” B.F.P.O. ” (British Forces Posted Overseas)
“ママの英雄”

私たちの小さな軍隊の坊やが
B.F.P.O.から帰宅です
私は紫色の花束で
ママの英雄を飾る

飛行場で哀悼
陽気は暖かくなったのに、彼は冷たくなって
制服を着た4人
私の小さな兵士を家に運ぶために。

彼に何ができた?
ロックスターになっているはず
でも、彼はギターのためのお金を持っていなかった
彼に何ができた?
政治家になっているはず
でも、彼は適切な教育を受けれなかった
彼に何ができた?
父親になっているはず
でも、彼は20代にもなっていなかった
何という損害-
憧れの軍隊(Army dreamers)
Ooh、何という損害-
憧れの軍隊(Army dreamers)

涙がブリキ箱にかかる
ああ、イエスキリスト、彼は知っていませんでした
狐の目の前にいる鶏であることを
彼はうぬぼれた戦争に勝てなかったことを

子を授かり、よりすぐりの種
そして、彼にすべてのあなたの徽章(ストライプとリボン)を与える
今、彼は穴の中に座っている
彼はそのうえボタンとリボンを持っているかもしれません。

彼に何ができた?
ロックスターになっているはず
でも、彼はギターのためのお金を持っていなかった
彼に何ができた?
政治家になっているはず
でも、彼は適切な教育を受けれなかった
彼に何ができた?
父親になっているはず
でも、彼は20代にもなっていなかった
何という損害-
憧れの軍隊(Army dreamers)
Ooh、何という損害-
憧れの軍隊(Army dreamers)
Ooh、何という損害-
憧れの軍隊(Army dreamers)
憧れの軍隊(Army dreamers)
憧れの軍隊(Army dreamers)

(” B.F.P.O. “)
Did-n-did-n-did-n-dum…
憧れの軍隊(Army dreamers)
Did-n-did-n-did-n-dum…
(”ママの英雄。”)
(” B.F.P.O. “)
憧れの軍隊(Army dreamers)
(”ママの英雄。”)
(” B.F.P.O. “)
悪意なき英雄。
(”ママの英雄。”)
(” B.F.P.O. “)
憧れの軍隊(Army dreamers)
(”ママの英雄。”)
(” B.F.P.O. “)
悪意なき英雄。
(”ママの英雄。”)
(” B.F.P.O. “)
ママの最愛の人。
(”ママの英雄。”)

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ケイト・ブシュの1980年のアルバム「魔物語:Never for ever」の一曲「アーミー・ドリーマー」です。

このアルバムには「バブーシュカ:Babooshka」、「呼吸:Breathing」などが収録されており、全体的にまとまりがあり、彼女の代表的なアルバムのひとつです。
アルバムタイトルの「Never for ever」は、「永遠なるものは何もない」という意味ですが、収録曲によりアルバムの印象が短編小説集のように思えることから「魔物語」の邦題がついているようです。原題とかけ離れた邦題を付けることには違和感がありますが、確かにケイト・ブシュの歌には、ある種のストーリー性を持ったものが多いので、この邦題は納得できます。ただ、ケイト・ブシュの「魔」は悪魔や魔物というよりも、人間の裡にある「魔」というものが当てはまると思います。その意味では、この「アーミー・ドリーマー:Army Dreamers」もそのひとつだと思います。ケイト・ブシュの作るメロディ、独特の歌唱の魅力はもちろんですが、その詩の内容もとても優れたものです。しかし一度聴いただけではよく分らないというのもケイト・ブシュの詩の特徴です。そこで少しの知識と深読みが必要となります。

この歌の内容を知るための情報を少し書きます。まず、「B.F.P.O.」は、The British Forces Post Officeの略、世界の英国軍の戦闘力維持のために組織化された郵便システム、あるいは、British Forces Posted Overseasの略、海外派兵の郵送システムです。ですから、最初の節の「ママの英雄:Mammy’s hero.」は、国の母親に当てた手紙の一部、「ママの期待を裏切らないよ」というような意味の言葉であると思います。

次に第二節では、この「B.F.P.O.」により飛行機でイギリスに戻ってくる場面です。紫色の花束はロイヤリティと式に関連付けられて、紫色の花が尊厳の要素、誇りと成功を表しています。つまり尊厳ある弔慰を意味します。

第三節の飛行場。「制服を着た4人:Four men in uniform 」ですが、通常では棺を担ぐ人数は6人です。ベルギーにある第一次世界大戦ドイツ墓地「ランガマーク:Langemark」にあるエミール・クレイガー(Emil Krieger)の有名な彫像「The four mourning soldiers」を象徴しているのかもしれません。

第四節は、兵士以外になれなかった境遇と、兵士にならなければいろいろな可能性が人にはあったのにという意味です。

第五節のtin boxをブリキ箱としましたが、イギリスでは骨がパウダー状になるまでの火葬が一般的で、それを金属や陶器でできた箱や筒に入れます。散骨する場合は簡易的な物、保存する場合は装飾を施した少し豪華なものにします。そこでここでは、死んだ兵士の骨を収めた金属の箱に涙を落とすと解釈できます。次にLike a chicken with a fox,は、狐を前にした鶏=強者に獲物にされる弱者・狡猾なものの前の臆病なものとのダブルイメージ。the war with ego.は、戦争に対する驕り・うぬぼれと利己的な判断で行う戦争の犠牲のダブルイメージです。この歌の主題となる部分だと思います。

第六節、the pick of pipsは子供が天からの授かり物、たったひとつの特別な存在という意味です。stripes and ribbonsは、兵士が軍服につけている階級章や名誉徽章です。それに対して、buttons and bowsは単なる飾りではなくて、死者に捧げる献花に代わるリボンです。

そして、この歌全体から受ける内容は、浮かび上がる「アーミー・ドリーマー:Army Dreamers」Dreamerではなくて複数Dreamersの意味、ひとつは、純真に兵士に憧れながら、その無知ゆえに自分を愛する母親を残して戦死するという哀しい若者。またもうひとつは、大切な子供を失うことがあることを知りながら、息子に期待し名誉を求める兵士の母親。そして最期のひとつは、軍隊を自分の道具として、利益・利権を得ることを夢見て、純真な若者やその家族を犠牲にしている権力者というメッセージです。これが、Like a chicken with a foxとthe war with ego.の言葉が主題であるという理由です。

真に意義ある軍隊や戦争とはいったいどのようなものなのでしょうか?「アーミー・ドリーマー:Army Dreamers」はそんなことを考えさせてくれます。この歌は、ケイト・ブッシュによる反戦メッセージソングと言えます。

alwaysontherun.netのケイト・ブシュのページ(ケイト・ブシュのバイオグラフィと原文歌詞が掲載されています。

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