PR

007ジェームズ・ボンド「ドクター・ノオ」:James Bond – Dr. No 1962

映画関連
記事内に広告が含まれています。
スポンサーリンク
DR. NO | 007 Meets DR. NO

James Bond 007 – Dr. No

Dr No Trailer - James Bond First Movie

Dr No – Original Trailer

スポンサーリンク

007ジェームズ・ボンド(James Bond)シリーズの第一作「ドクター・ノオ」(Dr. No)、日本での旧題は「007は殺しの番号」です。

このシリーズは現在までおよそ半世紀におよぶ、映画史上に残る最長不倒シリーズです。しかし残念なことに第23作の製作はメトロ・ゴールドウィン・メイヤーの経営難により無期限延期となっています。過去にもシリーズ中断の危機の噂が何度かありましたので、今回も乗り切ってもらいたいものです。
この第一作「ドクター・ノオ」には、シリーズ第22作『007 慰めの報酬 (Quantum of Solace) 』まで持続させた原動力の要素がすでに現れています。それは、
1.ジェームズ・ボンドを演じる役者の魅力
2.世界中の特定の場所を舞台にする「ご当地観光映画」の要素
3.明確な「巨悪」に対するボンドの正義性
4.スケールの大きなストーリー展開
5.魅力あるボンド・ガール
6.個性的なテーマ音楽
但しこの映画のオープニングテーマは充分に魅力的でしたが、やはり主題歌が欲しかった、そこで第二作では「ロシアより愛をこめて」が登場するわけです。さすがMGMも良くヒット作の作り方を心得ていたのですね。
7.ボンドと比肩する悪役キャラクター
などです。(日本の渥美清の「男はつらいよ」シリーズも同じ構造ですね。)そしてこれら要素のどれかが欠けると、このシリーズの求心力が損なわれます。過去のシリーズ作品で人気がない作品は、どれもこれに該当します。ただ、この要素を維持してゆくことは、マンネリズムに陥ることになりますが、しかし観客にとってみればそれでもいいのです。観客はこの偉大な娯楽作品に社会的な問題提起などを求めていないからです。007ジェームズ・ボンドシリーズを見るために映画館に足を運ぶのは、日常生活の中で一服の清涼剤を得るようなもので、その味が変ってしまっては007ジェームズ・ボンドシリーズの魅力は失われます。シリーズ初期のショーン・コネリー版、ロジャー・ムーア版、ピアース・ブロスナン版はこの要素を維持していたのですが、最近のダニエル・クレイグ版はリアリティあるボンド像の新機軸を狙ってか、どこかこの要素が希薄になっています。これでは折角作り上げたジェームズ・ボンド像がボーン・アイデンティティーのジェイソン・ボーンやダ・ヴィンチ・コード、天使と悪魔のロバート・ラングドン教授に負けてしまうように思います。

それではこの映画の魅力の要素が突然作られたのかと言うと、そうではありません。先駆的な作品があります。小説としては、イアン・フレミングの原作はスパイ小説の先駆的な作品ですが、基本的には40年代・50年代に人気があったシドニー・ルメットやレイモンド・チャンドラーに代表されるハード・ボイルド小説です。そこでは、ニヒルな探偵や麻薬調査官、FBI捜査官がギャングなどの悪の組織と戦い、お約束のように美女が登場します。この「ドクター・ノオ」(Dr. No)の予告編の独白による解説はハード・ボイルド小説によくある一人称による文体を踏襲しています。また、映画としてはフィルム・ノワール (Film noir)の虚無的・悲観的・退廃的な指向性を持つ犯罪映画の作品群です。40年代・50年代はハード・ボイルド小説の流行からこうした傾向の映画が多く作られました。古くはキャロル・リード監督、オーソン・ウェルズ主演の「第三の男」やハンフリー・ボガード主演の「マルタの鷹」、「三つ数えろ」などですが、それ以外にもB級映画と呼ばれる多くの作品があります。ジェームズ・ボンドシリーズはこのフィルム・ノワールの延長線にある映画で、そのため第一作「ドクター・ノオ」(Dr. No)も極めて低予算で作られました。しかし、この映画が従来のフィルム・ノワールと違っていたのは、テレンス・ヤング監督の才能もありますが、メトロ・ゴールドウィン・メイヤーの家族で見ても楽しい映画を作るという映画製作のポリシーにより、ダークな要素を排除して、徹底した娯楽作品としたことです。その娯楽性はヒッチコックのサスペンス映画、例えば「北北西に進路を取れ」(North by Northwest:1959)などのタッチやアクションの影響が伺えます。
マンネリズムと恥じることはありません。それはこのシリーズに携わった多くの映画人が作り上げた完成形を意味していると言えるからです。メトロ・ゴールドウィン・メイヤー、ジェームズ・ボンドシリーズのファンとしては、原点に帰った007をもう一度見たいと思っています。

日本版映画ポスター、「007は殺しの番号」版はフィルム・ノワール調。日本の配給会社がこの映画の魅力がどこにあるのか分っていないといった感じです。興行的にもいまいちでしたが、観客の噂や海外からの情報が入ってきて、自作「ロシアより愛をこめて」はヒットしました。「ドクター・ノオ」版はスマートで、洗練されたイメージをよく伝えています。

ジェームズ・ボンドWikipedia
007 ドクター・ノオWikipedia
Dr. No (film)Wikipedia

コメントをどうぞ