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四月になれば彼女は [歌詞和訳]サイモン&ガーファンクル:April Come She Will–Simon & Garfunkel

人気がある歌,定番の名曲


Simon & Garfunkel – April Come She Will (from The Concert in Central Park)

サイモン&ガーファンクルの「四月になれば彼女は」です。
初めて聴いたときは、不治の病で死んでゆく恋人について歌っている悲しい歌かと思いましたが、よく聴けば「恋愛」そのものについて歌っていることが分かります。
「April come she will」は詩における倒置を使っています。強調の意味もありますが、四月がやってくると彼女も(willそのものが、未来に対する予測になります。すべての始まりを表しています。)、she will comeだと「彼女がやって来る」と限定的になります。「四月になれば彼女は」の邦題はよくこのイメージを伝えていて名訳です。そして五月から八月までは、「恋愛」の諸相を象徴的に描いて、九月で結んでいます。「September I’ll remember.」は「九月になると思い出すだろう」というよりも、「九月そのものが思い出すときそのもの」という表現だとおもいます。四月と九月に「,」がないことに注目してください。あと、各月で「April 」と「will」、「May」と「stay」、「June」と「tune」、「July」と「fly」、「August」と「must」、「September」と「remember」と韻を踏んでいます。各節に脚韻もあります。この詩法も、音楽的効果と詩の内容を伝えるうえで重要なポイントです。
春四月は長い冬が終って、明るい希望の季節。そしてアメリカでは、学年の区切りが九月に始まり、八月に終わりますので、八月に学生時代の恋が終るというケースが多くあります。そんな感傷もこの歌のバックボーンにあります。
とても短い歌ですが、季節の移り変わりと恋愛のイメージを織り込んで、ポール・サイモンのメロディメーカーと詩人としての才能が良く分ります。そしてアート・ガーファンクルの美しく澄んだ歌声が、とてもこの歌に合っています。

「四月になれば彼女は」(April Come She Will:歌詞)

April come she will
When streams are ripe and swelled with rain;
May, she will stay,
Resting in my arms again

June, she’ll change her tune,
In restless walks she’ll prowl the night;
July, she will fly
And give no warning to her flight.

August, die she must,
The autumn winds blow chilly and cold;
September I’ll remember.
A love once new has now grown old.

「四月になれば彼女は」(April Come She Will:訳詞)

四月がやって来ると彼女も
川は満ちて雨で潤う頃
五月、彼女は居てくれるだろう
再び私の腕の中で安らぐ

六月、彼女の様子が変るだろう
落ち着きのなく歩き、彼女は夜に徘徊するだろう
七月、彼女は飛び立つだろう
けれとも彼女が飛ぶことに何の警告もしない

八月、きっと死んでしまうだろう、彼女は
秋の風が肌寒く冷たく吹いて
九月には私は思い出すだろう
愛はかって新しくても、移ろい過ぎてゆくことを


Simon & Garfunkel – April Come She Will

※以下は、この曲の理解を深めるための追加情報です・・・

2018年9月19日、「なべ」さんから、この曲に関する大変貴重な情報を寄せていただきましたので、皆さんとも共有したいと思います。
この曲の詩は、約200年前にイギリスの詩人ジェーン・テイラーによって作られた詩を基にしているということです。

‘”In April the cuckoo comes, In May she’ll stay, In June she changes her tune, In July she prepares to fly, Come August, go she must,”‘
‘”And if the cuckoo stays till September, It’s as much as the oldest man can remember.”
cuckooとは渡り鳥のカッコー、tuneとは鳴き声のことだということです。

※ジェーン・テイラーはきらきら星(きらきらぼし)「Twinkle, twinkle, little star」の童謡の作者として有名ですが、「四月になれば彼女は」の歌詞が彼女の詩を元にしているとは思い及びませんでした。本当にありがとうございました。
これで、当時のポール・サイモンのイギリス旅行での成果が、スカボロー・フェアだけではなかったことも再確認できました。

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「なべ」さんからこの曲の理解を深めるための、貴重な追加情報をいただきましたので更新いたします。

ポールが1968年Hollywood Bowl で行われたコンサートで以下のように語った言葉です。
‘When I was living in England, about three years ago, four years ago, I worked in a club in a town called Swindon. It’s about 100 miles north of London. I spent the night with a friend of mine in a smaller village called Great Coxswell, not that it means anything, no pun intended. We’d stayed up all night and talked and I said to her ‘Let’s go out in the morning and do it’ (Laughs from audience) ‘You too huh?’. We went out at dawn and she recited an English nursery rhyme, it was a children’s rhyme and it was about a cuckoo, a bird. It went ‘April come she will. May she will stay, June she’ll change her tune. July she will fly. August die she must’.Hollywood Bowl 1968

※「四月になれば彼女は」:April Come She Willが、ジェーン・テイラーの詩とベンジャミン・ブリテンの音楽、双方にインパイアされた楽曲であることが大変よく分かりました。そして改めて、この曲を深化させたポールのソングライターとしての素晴らしさも分かると思いますので、この記事の参考情報としてご紹介させていただきます。


Friday Afternoons (Cuckoo) – Benjamin Britten.

Benjamin Britten – Friday Afternoons (Cuckoo)

ベンジャミン・ブリテン- 金曜日の午後(カッコウ)
歌詞

Cuckoo

In April, I open my bill
In May, I sing night and day
In June, I change my tune
In July, how far I fly
In August, away

Cuckoo

(意訳)

四月に、私はくちばしを開け
五月に、私は夜も日中も歌う
六月に、私は私の声音を変える
七月に、私は遥か遠くまで飛ぶ
八月に、去ってゆく