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フェルメール「ヴァージナルに向かう少女」について

「A」図
フェルメール「ヴァージルに向かう少女」

「B」図
フェルメール「ヴァージルに向かう少女」フェイク

「C]図


 フェルメール展に出品されている「ヴァージナルに向かう少女」は、長い間、フェルメールの周辺画家の作品として、知られていましたが、10年以上の専門家の調査により、フェルメールの作と認定されたものです。この作品が真作であると発表されたときには、少し驚きました。その理由について書きます。
なぜ、長年の間、真贋が確定しなかったのかは、過去のハンス・ファン・メーヘレンによるフェルメールの贋作事件の反省からくる警戒心もあったと思いますが、この小品の構図上あるいは、技術的な弱点に由来します。
すぐに目に付くのは、少女の羽織っている黄色のマントの描写です。極めて単純、悪く言えば、非常に不器用といってもよい襞や陰影の描き方です。カンバスのサイズが24.5cm×19.5cmの小さな作品ですから、簡単に描いた、また、単純化された後期の作品に関連しているとも考えられますが、他のフェルメール作品には見られない稚拙さです。たとえば、「ヴァージナルの前に立つ婦人」や「ヴァージナルの前に座る婦人」「ギターを弾く女」では、単純化された筆使いによる色の線や点により、衣装の襞や陰影は的確に、しかも明瞭に描かれています。このようなぼってりとした表現ではありません。
次に、光線の処理です。この小品は「ヴァージナルの前に座る婦人」の中心部の構図をほぼ踏襲しています。光線の処理も同様です。「ヴァージナルの前に座る婦人」の光線は画面の手前左から差していることが分かります。しかし、この作品はフェルメールの初期・中期の作品の特徴である画面左の窓からの光線となっています。(顔や腕に当たる光のコンストラクトから、比較的強い光、また、壁の陰影から推定されます。)この不自然さは何故でしょう?年齢と共に画家の力量が落ちたという説もありますが、フェルメールの享年は43歳です。画家の年齢としては円熟期です。ちなみに、画面左からの光線では左の「B」図のような光線の処理になります。全体の室内の光線のイメージは「C」図です。高い位置からの窓からの光線です。「B」図はこの作品の光線の陰影を勝手に修正したものです。素人が修正しただけで、よほどフェルメールっぽい自然な陰影になると思います。この絵が「ヴァージナルの前に座る婦人」の下絵だとしても、敢えて不自然にする必要があったのでしょうか?それでは、下絵になりません。売却を目的とした作品にしては、絵のサイズは小さく、なによりも「絵画の芸術性」を信じていた画家の作品とは思えません。
長くなりますので、他の不自然な点を列挙します。(下に参考関連作品図を用意しました。)
1.譜面台の楽譜がまるでメモ用紙のように小さい。
2.各パーツが他の作品に似通っていること。(全体のポーズは「ヴァージナルの前に座る婦人」、顔の角度や陰影は「絵画の寓意」、髪型は「レースを編む娘」、スカートは「合奏」のような質感。)
3.窓に向けてヴァージナルを置く不自然さ。ヴァージナルは、上の板を縦に上げて演奏しますので、窓に向けると手元や譜面台暗くなります。このため「ヴァージナルの前に立つ婦人」は窓に背を向けています。光を求めて窓辺で手紙を読む女性の違和感のない日常性を描いた画家が何故このようなことをしたのでしょうか?
4.初期・中期の作品にしては粗雑であること。後期の作品としては、色彩が曇っていること。(例えば、ヴァージナルの色彩)では、いつごろの作品?
5.ヴァージナル、少女、椅子の位置が近く、構図が窮屈であること。他の作品でこれほど窮屈な構図はありません。
要約すると、この作品は、フェルメールの初期から後期までのいろいろな特徴を持った混成画のようです。小さな絵であっても高級な絵の具を使い、寡作であっても、自分の作品にプライドを持っていたであろうフェルメールの作品としては、特有の持ち味である情感を感じさせるでもなく、色彩や筆致を楽しめるものでもない、極めて味わいの少ないものです。
フェルメールの絵のうちで最も奇妙な作品だと思います。
専門家が折り紙を付けた真作ですが、フェルメールであっても、全てが珠玉の作品ではないという証明なのでしょうか?


参考関連作品図
フェルメール関連作品図

中期は、コントラストによる陰影の表現。後期は色彩の表現が特徴的です。また、後期作品の人物の顔は、線描ではなく、ぼかした陰影による表現に変っています。では、この作品はいつ頃の作品なのでしょうか?