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藤田嗣治「カフェにて」のヴァージョンについて
「A」


「B」


「C」

藤田嗣治
ふじたつぐはる
Fujita Tsuguharu
洋画家
1886(明19)東京〜1968(昭43)チューリッヒ


2006年、各地で藤田嗣治生誕120周年を記念した「生誕120年 藤田嗣治展 〜パリを魅了した異邦人」が開催されました。
藤田嗣治の絵画は独創的な乳白色と日本画の技法を油彩画に取り入れつつ、面相筆や墨を使用した描線など繊細な魅力があります。
どの絵画作品にも当てはまることですが、絵画の色調は写真や印刷物では決して再現できません。実物を見ることでしか得られないものです。

2006年の展覧会チケットに使用された「カフェにて」はいくつかのヴァージョンがあり,左の「A」と「B」の2枚の絵を一緒に並べてありましたが、女性の髪の色,背景の色使いや建物の看板などが違っています。
「C」は没後、日本で開催された回顧展に出品されたもので、藤田嗣治作品の魅力が一番出ているものだと思います。切り詰められ、対象に迫った画面の構成、描かれた女性の姿勢や表情などが違います。
構図、特に黒色のバランスに注目してみます。
まず、「A」「B」と違う頭上の線が画面の中央にあり、女性の左腕の線に対応しています。リズムのある傾斜している上半身の面がアンバランスな印象となることから、四隅にそれぞれに対照となる面を配置することでシンメトリーのある安定感を出しています。
そして最終的に観る者の視線は、黒色になれた眼に一層引き立つ乳白色の顔へとたどり着くことになります。完成された構図だと思います
。また、「A」「B」では視野が広く、対象の女性からやや離れているため女性の孤独感が感じられますが、散漫な印象となっているように思います。
好みの問題かもしれませんが、これが最良のヴァージョンだと思いますが、いかがでしょうか?。




黒色の配置バランスによる構図

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